他者の立場で考えるために必要な力とは?―視点取得能力の発達

他者の視点に立つ力「視点取得能力」。その発達は大きく3段階に分かれていると言われています。

第1段階「知覚的視点取得」~おともだちからはどう見える?


知覚的視点取得とは見る・聞く・触れる・嗅ぐ・味わう といった感覚の情報を、他者の立場で想像して理解することです。



例えば下のように積み木が置いてあるとします。


さて、ぷらっと君の視点からは積み木はどう見えるでしょうか?




→実際にぷらっと君の位置に立たなくても、右の図のようなぷらっと君の視点を想像して正しく理解できることが知覚的視点取得です。



上の例の場合、実際に積み木が置いてあれば、あなたがぷらっと君の位置に移動してどう見えるか確かめることができます。


この段階では、実際に自分でも他者の立場が体験できるという点で、視点取得の中で最も早く発達すると考えられています。




第2段階「認知的視点取得」~おともだちはどう考える?~


認知的視点取得とは、他者の心理状態を理解する力のことで、「心の理論」という言葉でも研究されています。下の例から考えてみましょう。














さて、クレヨンを使おうと思ったサリーはカゴと箱どちらを探すでしょうか…?


答えはカゴですね。


この問題に正答するには、「サリーは、アンがクレヨンを箱に移したことを知らないからカゴを探すだろう」ということを理解する必要があります。


広く考えると、この問題に正答できるなら、『他者の心の中を想像して理解する力があるだろう』と考えます。


つまり「わたしとあなたは同じように喜怒哀楽の感情や思考を持つが、必ずしも自分と同じものに喜怒哀楽を感じたり考えたりするわけではない」という、対人関係において前提となる内容を理解できることが認知的視点取得です。


この段階では、第1段階のように実際にその人そのものになって物事を考えたり感じたりすることが不可能なため、質的に一段階難しくなります。




第3段階「社会的視点取得」~みんなはどう考える?あなたならどうする?~


最後は社会的視点取得です。

関わる人たち全員の視点に公平に立ったうえで、実際の社会制度や常識を踏まえて有効な回答を出せる力と言われています。


大人でも時に難しい、高度な視点取得です。

具体的にはどういうことでしょうか?以下の例で考えてみましょう。







今回紹介した3つの力はとても高度な力で、子どものうちに完成するのではなく、生涯を通じて発達していくといわれています


一見獲得しているように見える大人でも、疲れたり焦ったりしていると、すぐに自分の視点のみに囚われて、相手のことを考える余裕がなくなってしまいます。


私たちは普段意識せずに、他者の視点に立つ高度な能力を駆使して日常生活を上手に送っていると言えます。


大人に比べれば子どもの方がこうした能力は未発達ですし、運動や学習と同様に得意・不得意があります。


では、こうした視点取得能力を延ばすにはどうしたら良いのでしょう?


次回は、「視点取得能力の育成と物語の活用」についてお話ししたいと思います。